日本酒選びの道しるべ。あなた好みの日本酒と出会う方法教えます。
日本酒と発酵フレンチのお店「SAKE Scene〼福」を経営する簗塲友何里(やなば ゆかり)さんのお酒コラム。今回は、自分の好みにぴったりな日本酒と出会う方法です。
日本酒の味わいは色々
現在、日本酒の蔵は全国で約1500蔵あります。仮にそれぞれの蔵が20種類くらい日本酒を造っているとしたら、単純計算でも毎年30,000種類くらいの日本酒が世の中に出回っていることになります。その中から今夜飲む1本を探すなんて、大変な技です!試飲もしないでそんな奇跡の1本に出会うなんて、無理無理!と思われる方も多いかと思います。
そこで今回は、自分の好みに合った日本酒を選ぶヒントをお伝えします。日本酒選びの道しるべにして頂ければ幸いです。
「スッキリみずみずしい感じ」が好きな方は?
前回のコラムで、お伝えしたとおり、搾りたての日本酒は爽やかでハーブを感じるタイプが多いです。瓶のラベルや、酒屋さんのPOPの「しぼりたて」「新酒」「初しぼり」といった表記が目印です。
・精米歩合の%が低いお酒を選ぶ
精米歩合とは、お酒を作る時に原料のお米を削って、どれぐらい残したかを示すものです。このパーセンテージが低ければ低いほど、雑味のないすっきりとした味わいになりやすくなります。瓶のラベルに「精米歩合」として、パーセンテージや割合で表記されているお酒も多いので、目印になります。
・日本酒度がプラスのものを選ぶ
瓶のラベルに「日本酒度」が表記されているお酒も結構あります。この日本酒度は日本酒度計という比重を測る計器を酒に浮かべて測った値で、+なら辛口、―だと甘口です。スッキリした味わいがお好みなら、+の辛口を選んでみましょう。人間の舌が日本酒の味をどう感じるかは、酸味や旨味、甘味などのバランスで異なりますが、一つの目安にはなります。
・東日本の蔵のお酒を選ぶ
日本全国に日本酒の蔵はありますが、ざっくり東西で考えると、東寄りのお酒は、綺麗めの爽やかな感じが比較的多いです。東北各県や、長野、新潟あたりの蔵から選んでみてはいかがでしょう。
「甘味を感じるタイプ」が好き
精米歩合の%が高い、あまり削っていないお米を使用した日本酒は、優しい自然な米の甘味が口内に広がるタイプが多いです。
・日本酒度がマイナスのものを選ぶ
先程のスッキリ系とは反対に、日本酒度がマイナスで、数字が大きいものほど甘口となります。これも、やはり実際に甘口と判断されるかは、個人差があり、数値では分からないこともありますが、参考にはなります。
「酸味が強い」お酒が好き
お酒の味わいの指標の一つに「酸度」があります。これは、瓶ラベルに表記している蔵としていない蔵がありますが、表記されていれば、大きな目印になります。私は、酸度1.5以上の日本酒は爽やかな酸味を感じます。
・「山廃仕込み」と表記されているものを選ぶ
山廃仕込みは、自然界にいる強い乳酸菌が勝って発酵をするので、ヨーグルトのような酸味と、力強さを感じます。こういうお酒は、お燗をすることで味わいに奥行きが出ます。
「ゆるゆる呑める、落ち着いた味わい」が好き
火入れとは、絞ったお酒を温めて発酵を止める作業のこと。基本的に「生酒」「生」と表記されているもの以外は火入れされています。絞ったお酒を一度湯せんなどで温めているため、味わいが落ち着きゆっくり飲めます。華やかさはあまりありませんが、お食事に合わせやすいです。
「しっかりとした」お酒が好き
比較的、日本の西寄りの地域にある蔵で造られているお酒に、このタイプが多いです。西日本は、繊細な出汁の旨味を活かした料理が多いので、それに合わせた優しいながらも旨味を感じる「凝縮感」のある日本酒が目立ちます。島根など中国地方と近畿、四国地方の蔵に、このタイプのお酒が多いです。
・火入れをし、熟成させた日本酒を選ぶ
日本酒を絞って火入れをしたあと、タンクや瓶の中で比較的長期に熟成させたお酒は、旨味と凝縮感が増し、お燗にするとさらに開いて奥行きが出ます。秋になると各蔵から出回る「ひやおろし」「秋あがり」などがその代表です。ラベルの「長期熟成」などの表記も目印になりますね。
好みの日本酒と出会えば家飲みがさらに豊かに
また、季節によってお好みも変わって来るかと思います。その季節季節に合った好みの日本酒を見つけておくと四季を通じて楽しめますね。
※記事の情報は2018年2月20日時点のものです。
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