イタリア流多人数のおもてなし! 簡単にたくさん作れるおつまみを教えてもらいました(1)
家飲みやホームパーティーの“本場”ともいうべきイタリアのおすすめレシピを教えてもらいました。
美食の街パルマに伝わるパーティー向けのおつまみ
そんなファビオさんにパルマのおもてなしについて尋ねてみたところ、
「今度仕事仲間のパーティーをやるからおいでよ。僕が腕を振るうからさ。パルマ伝統のおつまみを作るよ」
と誘っていただきました。パルマ、美食の街、伝統のつまみ、手作り、と聞いたら、居ても立ってもいられません。早速、お邪魔することに。
会場に着くと、すでにファビオさんは仕込みの最中。全身を粉でまっ白にして奮闘しているご様子。
「今作っているのは、トルタ・フリッタ(torta fritta)だよ」
と言うのを聞いて、私は耳を疑いました。トルタ・フリッタを直訳すると「揚げケーキ」となるからです。驚く私の顔を見るや、
「ハハハ、トルタといっても、デザートのトルタじゃないよ。これから作る生地のことを地元ではトルタと呼んでるんだ。簡単にいえば、揚げパスタだよ」
ファビオさん、ニヤニヤして言いましたが、それでもまだ想像がつかない私は不安げに厨房をのぞかせてもらいました。
めちゃくちゃ膨らむ! パルマ伝統の揚げパスタを作ってみた
材料
- 小麦粉(パンやピザ用) 500g
- 粉状のイースト菌 4g
- 塩 小さじ1杯
- 白ワイン 適量
- ぬるま湯 コップ1杯
下準備として、イースト菌をぬるま湯で溶かしておきます。ちなみに今回のイースト菌はファビオさんイチオシのイタリア製を使用。
とファビオさん、余裕の表情。でも、汗だく。
そしてこのような滑らかなボール状になったら、布をかぶせて30分ほど休ませます。
「どうしてトルタ・フリッタというの? ケーキを揚げるのかと思って、びっくりしたよ」
するとファビオさん、
「実はこれ、一般的にはニョッコ・フリット(gnocco fritto)と呼ばれるレシピなのさ。エミリア=ロマーニャ地方の各地に見られる料理だけど、なぜかパルマでだけ同じものをトルタ・フリッタと呼ぶんだ。うーん、なんでかな…、うちのおばあちゃんに習ったんだけど、おばあちゃんもそう呼んでいたからなあ。きっとパルマは、食に関してうるさい街だから、ほかとは一味違う意味をつけたかったのかもしれないね」
そういえば思い出したのですが、パルマでカペレッティという肉詰めしたパスタ料理をご馳走になったことがあります。ところがその料理、少し離れた地域ではアノリーニと呼ばれていました。もしかして微妙な違いがあるのかもしれませんが、こうしたことも美食の街ならではのこだわりなのかもしれませんね。
さて、パスタ生地もいい頃合いになってきました。ファビオさん、おもむろにパスタマシーンをセットして、伸ばし始めました。おお、これを見ると、手打ちパスタだなあ、という感激が。
と手際よく生地を平べったくしていくファビオさん、
「大事なポイントは、生地を重ねて何度か伸ばすことだ。1回通しただけだと、あとで揚げたときに、膨らまないからね」
そう強調しながら、念入りに生地を折りたたんで、マシーンに通していました。こんな感じです。
やがてこんがりと色づいたら、取り出して、軽く塩をふりかけておきます。
美食の街パルマの食べ方はこれだ!
やったあ、ファビオさんにお墨付きもらいました。
では、Buon appetito! 「いただきます!」
「私も彼と同じエミリア=ロマーニャ州出身だけど、日本でニョッコ・フリットが食べられるなんて感激。夢みたいよ」
そう喜んでいましたが、やはり同じエミリア=ロマーニャでも、ボローニャ出身の彼女にとっては「ニョッコ・フリット」なのですね。
さて、トルタ・フリッタを味わってみると、表面サクサク、噛めば噛むほどモッチモチ。そこにハムやサラミの潤いと塩加減がプラスされて、なんともまろやかな味わいに。パンでもなく、パスタでもなく、ポテトチップよりも味わい深い。なんとも絶妙なワインのアテになっています。
「今日はエミリア=ロマーニャ産のコクのある白ワインを合わせてみたよ。でも、この料理はあまりワインを選ばないのさ。赤なら軽めのミディアムボディ、ロゼやスパークリングならなんだってオーケー。エミリア=ロマーニャには有名な赤のスパークリング、ランブルスコがあるけど、それも最高だね」
美食の街パルマに伝わるおもてなしレシピには、いつでも仲間を迎え入れる心が備わっているのですね。
※記事の情報は2018年7月12日時点のものです。
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