カップ酒のニューウェーブ、コスパ抜群ネクストカップ酒に注目

各地にたくさんあるカップ酒、ユニークなラベルを選ぶのもよし、旅先で地酒を楽しむのもよしですが、自宅でならおすすめはコスパ抜群のネクストカップ酒です。ワンコイン(500円)で2~3種類を飲み比べられます。

メインビジュアル:カップ酒のニューウェーブ、コスパ抜群ネクストカップ酒に注目

カップ酒は全国に3000種類

カップ酒の初登場は今から55年前。それまで主流だった一升瓶を「ワンカップ大関」が10分の1の180mlにパッケージしたところ、アウトドアや旅先で気軽に楽しめると大ヒット。飲みきりサイズで嵩張らない点や容器からそのまま飲める点も喜ばれ、全国の日本酒メーカーが次々に商品化しました。

当時は2000を超える酒蔵がありましたから、その7割くらいが一級酒と二級酒の2種類をラインナップしたとすると約3000種類のカップ酒があったと考えられます。現在は酒蔵が1000社くらいに減りましたが、半分ほどは多アイテムを発売しており、総数は今もほとんど減っていないと思われます。容器もガラス製のものだけでなく紙製やペット樹脂製が登場、最近は遮光性の高いアルミ缶のものも増えています。
スーパーやコンビニの棚にはサイズも酒質もさまざまなカップ酒が並ぶ
スーパーやコンビニの棚にはサイズも酒質もさまざまなカップ酒が並ぶ

カップ酒のおすすめはアルミカップ

酒好きなら誰でも知っているカップ酒ですが、飲用経験を聞いたところ「紙製カップ」や「アルミ缶カップ」は6割弱にとどまりました。ガラスのカップが多いのですが、軽くて割れず、日光の影響を受けないアルミ缶カップはもっと評価されていいと思います。私は好みの銘柄で同じ値段ならば、間違いなくアルミ缶カップを選びます。

「焼酎のカップ酒」は「甲類焼酎」「麦焼酎」「芋焼酎」はどれも3割弱にとどまったのは、ほとんどの商品がアルコール度数は25%だからでしょう。カップ酒はそのまま飲むことを前提なので25%は少々ヘビーです。それに比べると登場してまだ日の浅い「ワインのカップ酒」の飲用経験率28%は高いと見てよいでしょう。最近はワインのカップをよく見かけるようになりました。
 
カップ酒の引用経験率グラフ
出典:酒文化研究所/調査時期:2020/5/12~5/18/サンプル数:108 人(お酒好きな人)

家で飲むならネクストカップ酒

旅先のホテルや車中で楽しむイメージの強いカップ酒は、少しずついろいろなものを飲み比べしやすいところも利点の一つです。飲みきりサイズなのでどれだけ飲んだかわかりやすく、飲みすぎないようにコントロールできるというのは酒のヘビードリンカーの声。2本で止めるか、3本目まで行くか、この辺で悩むのですね。  

日本酒の品揃えが豊富な居酒屋さんで飲むことはあるけれど、自宅ではまだ日本酒を飲んだことはないという方におすすめなのが、今からご紹介するネクストカップ酒です。すっきり飲みやすくてほどよいボリューム、お値段もお手頃で言うことなしです。アルミ缶カップ、樹脂製カップのほか、あえてアルミボトルも取り上げました。
右から「松竹梅かおりCAN」「しぼりたてギンパック」「月桂冠ザ・ショット」「白鶴ザ・大吟醸クリアボトル缶」
右から「松竹梅かおりCAN」「しぼりたてギンパック」「月桂冠ザ・ショット」「白鶴ザ・大吟醸クリアボトル缶」

おすすめネクストカップ酒➀|ロックがグッド「松竹梅かおりカン」

日本酒のトップブランドになった「松竹梅」。最大手メーカーだけあって大衆酒をつくるのは得意です。このお酒は大吟醸酒ではありませんがバナナのような香りが豊かで、しかもフレッシュで飲みやすいタイプ。リーズナブルな吟醸酒はリンゴ系の香りのものが多いのですが、あえてバナナ系で攻めてきました。独自の「香り酵母877」の名称はバナナにひっかけたのでしょう。  

さらに唸ったのは微炭酸です。チリチリと舌を刺激してフレッシュさが増し、香りを立たせます。口に含むと甘いタッチでバナナが口中に広がりました。これで250ml217円(税別・参考小売価格)とコスパは抜群、さらに氷を浮かべてオンザロックにするとすいすいと入ります。
直接缶から飲んでも香りを感じるが、ワイングラスに注いで飲むといっそう香る
直接缶から飲んでも香りを感じるが、ワイングラスに注いで飲むといっそう香る
 
このオンザロックは超おすすめ。フレッシュさが生きる
このオンザロックは超おすすめ。フレッシュさが生きる

おすすめネクストカップ酒➁|草分け「しぼりたてギンパック」

菊正宗の「ギンパック」は「ワイングラスでおいしい日本酒アワード」で、大吟醸酒を押しのけて最高金賞をゲットした伝説の普通酒です。すっきりと飲みやすくリンゴのような香りが溢れる味わいは好評で、多くのお店の棚に並ぶようになりました。  

カップでそのまま飲むのもおいしいですが、ワイングラスでいただくと、香りが立ってさらにおいしく楽しめます。後味もさらっとドライに切れるので、飲み飽きしません。
飲み残しても保存できるようパチッとはまるピンクの蓋がついている
飲み残しても保存できるようパチッとはまるピンクの蓋がついている

おすすめネクストカップ酒③&④|ショット対決「月桂冠」VS「白鶴」

日本酒専業メーカーとして長くトップに君臨してきた月桂冠と白鶴が戦略商品として投入したのがこのショットボトル。月桂冠は瓶、白鶴はアルミボトルと違いはありますが、濃醇な味わいと軽快な味わいの2つをラインナップして新しいユーザーの開拓を狙います。  

「月桂冠THE SHOT華やぐドライ大吟醸」は今回飲み比べた4つの中ではもっともドライで、日本酒を飲みなれた人も納得する味わいです。りんごのようなフルーティな香りがたち、バランスよくまとまっています。食事には幅広く合わせられる万能タイプです。今度は甘口濃醇タイプ「艶めくリッチ本醸造」も試してみたいと思わせました。
ボトル全体をフィルムで多い日光を遮断、スクリューキャップで飲み残しても安心
ボトル全体をフィルムで多い日光を遮断、スクリューキャップで飲み残しても安心

「白鶴THE大吟醸CLEARボトル缶」はアルコール度数を13%と他よりも1~2%低く抑えて、軽く飲みやすさを追求したタイプです。甘い口当たりなのでボディが弱い感じはなく、バランスよくまとまっています。アルミボトルは冷やしやすいうえに軽量で丈夫、アウトドアでも活躍してくれそうです。もうひとつラインナップされた「RICH」はアルコール度数18%とストロング系に思い切って振り、飲みごたえを求める方を狙います。
アルコール度数の低さを感じさせない「白鶴 THE大吟醸CLEARボトル缶」
アルコール度数の低さを感じさせない「白鶴 THE大吟醸CLEARボトル缶」

ネクストカップ酒、コスパが高いのは?

今回の見比べた4つを並べてみると、価格的には「松竹梅かおりカン」がもっともリーズナブルです。前述したとおりこのお値段からすれば味わいは申し分なく、コスパの高さに驚かされました。  

他の商品もおいしくリーズナブル、狙いどおり日本酒の裾野を広げてくれることを期待したいです。
 

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商品名
(メーカー)
規格 味わいの特徴 アルコール度数 容量
容器
参考小売価格
(税別)
松竹梅かおりカン
〈酵母877〉
(宝酒造)
普通酒 微炭酸でフレッシュ。ほどよく甘い口当たりで飲みやすく、バナナのような香りが際立つ 14~15% 250ml
アルミ缶
217円
しぼりたてギンパック
(菊正宗酒造)
普通酒 リンゴのような香りが高くフレッシュな味わい。後味すっきり 14~15% 180ml
ネオカップ
198円
月桂冠「THE SHOT」
華やぐドライ大吟醸
(月桂冠)
大吟醸 リンゴのような香りが高く、今回試した中ではもっともドライ。甘口で脳純な味わいの「艶めくリッチ 本醸造」もあり 15~16% 180ml
スクリュー
キャップ瓶
250円
白鶴 THE 大吟醸
CLEAR ボトル缶
(白鶴酒造)
大吟醸 アルコール度数が13%と低く、甘い口当たり。後味はすっきり。アルコール度数18%で辛口の「Rich」もあり 13% 180ml
アルミボトル
298円

※記事の情報は2020年6月16日時点のものです。

  

『さけ通信』は「元気に飲む! 愉快に遊ぶ酒マガジン」です。お酒が大好きなあなたに、酒のレパートリーを広げる遊び方、ホームパーティを盛りあげるひと工夫、出かけたくなる酒スポット、体にやさしいお酒との付き合い方などをお伝えしていきます。発行するのは酒文化研究所(1991年創業)。ハッピーなお酒のあり方を発信し続ける、独立の民間の酒専門の研究所です。

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