イングランド発! 新進気鋭の蒸留所「レイクス蒸留所」のウイスキーを飲んでみた
ウイスキーと言えばスコットランドが有名ですが、そのお隣のイングランドに今、世界から注目を浴びる新しい蒸留所があります。イングランド発の新進気鋭の蒸留所、レイクス蒸留所の魅力とは?
今注目したい、イングランドに設立された新しい蒸留所
酒屋さんで買おうにもそれなりのお値段はするし、フルボトルではなくちょっと飲みたいだけだし…と、家飲み用に買うというのもそれはそれでハードルが高いんですよね。
そんなわけで今回は、久しぶりにウイスキーをご紹介させてもらおうと思います。
ご紹介するのは、イングランドでウイスキー、ジン、ウォッカなどの蒸留酒を幅広く手掛ける「レイクス蒸留所」のウイスキーです。
レイクス蒸留所とは?
以前、ウイスキー界の新しい波として取材に伺った台湾のカバラン蒸留所の初リリースが2008年だったので、それから比べると本当につい最近できた蒸留所という印象です。
ウイスキーと言えば大多数の方がスコッチウイスキー、すなわちスコットランドという国を連想されるのではないでしょうか。ご存じのようにスコットランドのウイスキーの歴史は数百年と長く、まぎれもなく世界を代表するウイスキーの産地です。
しかし、今回ご紹介するレイクス蒸留所が位置するのはイングランド。スコットランドと同じく英国であるものの、イングランドのウイスキー、いわゆるイングリッシュウイスキーという言葉はあまり聞かないのではないでしょうか。
それもそのはず、イングランドでのウイスキー造りには、ロンドンにあったリー・ヴァレー蒸留所が1903年に閉鎖されてから2003年にコーンウォールのヒーリーズ・リンゴ園にてウイスキー蒸留が再開されるまで、100年という空白の期間があったのです。
そんなウイスキーの歴史が途絶えてしまっていたイングランドの地に、2014年に設立されたのがこのレイクス蒸留所です。
レイクス蒸留所のキーパーソン、ダヴァル・ガンジー氏のこだわり
ダヴァル・ガンジー氏は、マッカラン、ハイネケンでのキャリアを経て、2016年からウイスキーメーカーという肩書でレイクスのチームに参加しています。ただ参加当初から順風満帆というわけではなかったようで、すぐに壁にぶつかったそう。それは当時のニューメイクスピリッツの味わいが、自分の理想としている味わいとは違っていたからです。
自分の理想の味わいを実現するためにチームリーダーとなった彼は、蒸留所の生産プロセスそのものの見直しを図ります。原酒の製造法から熟成の方法、ブレンドに至るまですべての工程に携わり見直しを図ったそうです。今もなお、理想の味わいを実現するため全工程に一貫して携わるというスタンスは変えておらず、蒸留所のすべてを熟知しているというのですから驚きです。
また伝統についても、ダヴァル・ガンジー氏の哲学があります。彼は伝統に敬意を払いますが、それに縛り付けられることも良しとはしておらず、常に進化することが重要だと考えているそうです。イングランドに位置するレイクス蒸留所は、スコッチウイスキー協会(SWA)の定める規定に従わなくても問題がないため、スコッチの伝統にとらわれない自由な発想のウイスキー造りができ、この点もまたレイクスのウイスキーの個性となっています。
こうしてレイクス蒸留所は、2018年6月に最初のシングルモルトであるジェネシス(Genesis)を限定99本にてオークションで発売したわけですが、そのNo.1ボトルはなんと7,900ポンド(当時のレートで約110万円)で落札され、新蒸留所の製品の値段としては世界記録になったそうです。
こんなに魅力的なウイスキー、もちろん飲んでみたい。というわけで、いよいよお楽しみの試飲のお時間といきましょう。
レイクスウイスキー「THE ONE」を飲んでみた
その名のとおり″唯一無二”をコンセプトに、レイクスのシングルモルトにスペイサイド、アイラのスコッチグレーンとモルトウイスキーをブレンドした、ブレンデッドウイスキーのシリーズです。
「ポートカスクフィニッシュ」は、レイクスのシングルモルトを中心に、スペイサイドとアイラの厳選されたグレーンウイスキーとモルトウイスキーをブレンドしたブレンデッドウイスキー。説明だけ見ると割とスコッチっぽい雰囲気でしょうか。
ダイレクトに味わいたいのでストレートで試してみます。
「シェリーカスクフィニッシュ」はヨーロッパ産オークのオロロソの樽とペドロヒメネスのシェリー樽で熟成させたブレンデッドウイスキー。ダヴァル・ガンジー氏はシェリー樽に強いこだわりを持っているということだったので、レイクスらしさが分かりやすいウイスキーだと思われます。
「オレンジワインカスクフィニッシュ」はオレンジのワインで風味づけされたアメリカ産オーク樽にて熟成したウイスキー。
オレンジワインと言っても、最近日本でもよく見かけられるようになった、白ワイン用ブドウを果皮ごと仕込んだ色がオレンジのワインではなく、スペインのアンダルシア州ウエルバで生産される「ヴィノ・デ・ナランハ」というオレンジピールを浸透させて香りをつけた、リキュールを添加したワインのことです。ちなみにこちらと混同するのを嫌がってか、オレンジ色のワインのことをアンバーワインとあえて呼んでいるソムリエもいます。
この「ヴィノ・デ・ナランハ」のカスクを使ったウイスキーはかなり珍しいと思いますので期待大です。
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イングリッシュウイスキーということで、スコッチウイスキーに寄せた味わいなのかと思っていましたが、スコッチのニュアンスもありながらも、プラスそれを何か進化させたような完成度の高いウイスキーでした。いくぶんマイナーなウイスキーで、購入するのは躊躇するかもしれませんが、ミニチュアボトルでしたら1,000円くらいなので、お気軽にお試しいただけるのではないかと思います。
いつか世の中が元に戻ったら、この素晴らしいウイスキーをイングランドまで体感しに行きたいものです。
【商品概要】ザ・ワン ポートカスクフィニッシュ ミニチュア
- 生産国:イギリス
- 原材料名:モルト、グレーン
- アルコール度数:46%
- 容量 / 容器:50ml / 瓶
- 参考小売価格:850円(税抜)
- 輸入元:雄山㈱
【商品概要】ザ・ワン シェリーカスクフィニッシュ ミニチュア
- 生産国:イギリス
- 原材料名:モルト、グレーン
- アルコール度数:46%
- 容量 / 容器:50ml / 瓶
- 参考小売価格:850円(税抜)
- 輸入元:雄山㈱
【商品概要】ザ・ワン オレンジワインカスクフィニッシュ ミニチュア
- 生産国:イギリス
- 原材料名:モルト、グレーン
- アルコール度数:46%
- 容量 / 容器:50ml / 瓶
- 参考小売価格:850円(税抜)
- 輸入元:雄山㈱
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