山本あり『冷蔵庫のアレ、いつ使うの?』の再現レシピ《肴は本を飛び出して㊸》
食べるのが大好きな山本あり先生の漫画『冷蔵庫のアレ、いつ使うの?』から、ついつい持て余しがちな“アレ”を使ったジューシーな唐揚げを再現! あなたも今夜は、冷蔵庫で眠っているアレやコレを使っておつまみづくりを楽しんでみませんか? 家飲み大好きな筆者が「本に出てきた食べ物をおつまみにして、お酒を飲みたい!」という夢を叶える連載です。
料理上手な漫画家が、誰もが抱える“アレ”問題をおいしく解決!
©山本あり/幻冬舎コミックス
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食いしん坊で飲み助な漫画家の山本あり先生ご夫婦。会社員の夫・ヨウさんとは食事の時間がずれちゃうこともありつつ、お二人での家飲みタイムを満喫されています。
山本家の“料理リーダー”であるあり先生は、食いしん坊が昂じてなんと高校生の時に調理師免許を取得されたというのだから筋金入り。
デビュー後はパンや燻製をはじめとする食、旅に関する著書を多数出版されています。お一人でいろんな外飲みを楽しまれる『今日もゆるっとひとり飲み』(幻冬舎コミックス)も、お酒好きなら共感できるポイント満載でおすすめですよ。
一方、“掃除リーダー”のヨウさんはミニマリスト気質で、不要な物を処分するのが大好きなのだそう。
そんなヨウさんにせかされて(?)、あり先生が冷蔵庫に少しずつ残ったアレ(焼き肉のタレやら柚子胡椒やら、時にはヨウさんが作りすぎた肉じゃがやら)を巧く活かしたおつまみを作るというのがこの本のテーマ。
…“アレ”の存在に思い当たる節がある方も多いのではないでしょうか。はい、もちろん私めもそうです。
冷蔵庫を開けて目にするたびに、チクッと心を痛ませてくる“アレ”。
ちなみに我が家の冷蔵庫を確認してみたところ、ウスターソース2種(旅先で買いがち)、焼きそばソース(めったに作らない)、ブルーチーズソース(いっときハマりすぎて飽きた)、腐乳(指先くらいずつしか使わない)が「次はいつ使ってくれるんでしょうねぇ…」という圧を静かにかけてきました。なお、冷凍庫は怖いのでチェックしていません。
そんな“アレ”を楽しく工夫して使いこなし、見事に成仏させるあり先生ご夫妻を見ていると、「よし、うちでもやってみよう!」とポジティブな気持ちになれます。
本書に登場する“アレ”はこんな顔ぶれです。
あなたはどれが気になりますかな? ふふふ。
第1話 焼き肉のタレは万能調味料
第2話 お得な6缶パック
第3話 秋鮭の燻製、換気扇は「強」でね
第4話 スダチ、どうする?
第5話 日本酒は飲みすぎちゃうね
第6話 いつものカレーと違うんだよ
第7話 古漬、使ってもよくない?
第8話 梅仕事を分かってないわね
第9話 さよなら、柚子胡椒
第5話でヨウさんが飲みあました日本酒のアレンジ法が私にはとても想像がつかないもので、とっても驚きました!
『冷蔵庫のアレ、いつ使うの?』ここを再現
山本あり /幻冬舎コミックス『冷蔵庫のアレ、いつ使うの?』第一話 「焼き肉のタレは万能調味料」より
ヨウさんから「いつ使うの?」と聞かれたのは焼き肉のタレでした。
「アレ使っておうち焼き肉ってのもよくない?」と提案され、「いいねぇ」と一度は納得しかけたあり先生でしたが、消費期限が当日の鶏肉があることを思い出して焼き肉は却下。
そこでヨウさんから「唐揚げにすればよくない?」と神の一声。
なんでも、ヨウさんの実家では唐揚げの下味に焼き肉のタレを使っていたとのこと。
へーーーっ、そんな手があるんですね。恥ずかしながら知りませんでした(後で調べてみたら結構ポピュラーな使い方のようです)。
絶対おいしいに決まってる! と、ハナイキ荒く再現してみました。
◾お品書き
- 唐揚げ(焼き肉のタレ味)
【冷蔵庫のアレ、いつ使うの? 再現レシピ】唐揚げ(焼き肉のタレ味)
・鶏モモ肉
・焼き肉のタレ(作中では「我が家は焼肉屋さん 中辛」を使用)
・日本酒
・おろし生姜
・小麦粉
・片栗粉
・揚げ油
<作り方>
① 鶏モモ肉を大きめのひと口大にカットする。
② ボウルに①と焼き肉のタレ、日本酒、おろし生姜を入れてなじませ、10分ほどおいて下味をつける。
山本あり /幻冬舎コミックス『冷蔵庫のアレ、いつ使うの?』第一話 「焼き肉のタレは万能調味料」より
山本あり /幻冬舎コミックス『冷蔵庫のアレ、いつ使うの?』第一話 「焼き肉のタレは万能調味料」より
④ 鍋に油を熱し、170℃で3分揚げたら引き上げて揚げ物バットにのせ、5分休ませて余熱で火を通す。
⑤ 油を200℃まで熱して④を入れ、1分揚げれば完成。
山本あり /幻冬舎コミックス『冷蔵庫のアレ、いつ使うの?』第一話 「焼き肉のタレは万能調味料」より
あり先生、報われましたね!
■食べてみました
焼き肉のタレ味唐揚げ、初挑戦です。
揚げる時からすでに食欲をそそる香りがしていて飲みたくなってたんですよね〜。あり先生に倣ってハイボールをプシュッとし、いざ、いただきます!
おおお、これはお店っぽい味です。
タレだけ(生姜も入れたけど)とは思えない複雑な味で、ちょっと甘めなのが特徴的。ニンニクっぽい風味やゴマのプチッと感も面白くて、すごいスピードで箸が進んでしまいました。
黙って出したら、かなりの確率で「これ、何で味付けたの?」って聞かれると思います。それくらい、いつもの唐揚げとは違った味でした。
今回の再現のために買った焼き肉のタレ、我が家でも“アレ”化するのは確実ですが、きっと私は焼き肉よりも先にこの唐揚げを作ることでしょう。
いいレシピをゲットできて嬉しー。
あり先生たちはご飯と味噌汁(残っていた大根消費、達成)を添えておられましたが、私はひたすらハイボール、からの亜ビール(第三のビール)で食べきりました。
あ、一人なんで作中の量の半分ですよ!
***
“アレ”の使いこなし方もさることながら、お二人が家飲みをゴキゲンに満喫されている様子にも憧れを感じる一冊でした。
はー、私も生まれ変わったらこんな気の合う酒飲みのパートナーに巡り会えるといいなぁ。
しばらくは冷蔵庫の焼き肉のタレボトルを見るたびに、そう思い返すことでしょう。切なっ!
※記事の情報は2023年5月2日時点のものです。
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