こやまこいこ『スキップするように生きていきたい』の再現レシピ《肴は本を飛び出して63》

漫画家・絵本作家のこやまこいこ先生による漫画『スキップするように生きていきたい』から「まかないロールキャベツ」を再現! 家飲み大好きな筆者が「本に出てきた食べ物をおつまみにして、お酒を飲みたい!」という夢を叶える連載です。

ライター:泡☆盛子泡☆盛子
メインビジュアル:こやまこいこ『スキップするように生きていきたい』の再現レシピ《肴は本を飛び出して63》

暮らしの中に小さな楽しみを見つけたくなる、晴れやかな日常コミック。

◾こんな本です

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漫画家&イラストレーターのこやまこいこ先生が優しいタッチと色合いで描く「山椒一家」の物語。

主人公の山椒ぴりこは、夫のしびれ、5歳の娘・こつぶと三人暮らし。(大の山椒好きな私、実は最初はこのネーミングに惹かれてこの漫画を購入しました)

ぴりこは“すてき生活に憧れるのんびり主婦”で、一人でのお昼ご飯は4回しか混ぜない納豆ごはんのみだったり、土鍋ご飯を炊く!と決意しながら買い物に出掛けた先でお稲荷さんをみつけて炊飯を諦めたり、と「あるある〜」「わかる〜」なのんびり具合が魅力的な女性です。

ぴりこがどんな人物なのかは、このお昼ごはんのラインナップから推し計れるような気がします。


こやまこいこ /KADOKAWA『スキップするように生きていきたい』「ぴりこのいつものお昼ごはん」より
いかがでしょう。絶妙なリアリティのある品々だなぁと感服しちゃいませんか?

ジャンクなカップ焼きそばを食べたい気持ちが強いけど一抹の良心が青汁を追加させたかと思えば、欲望赴くままにスティックパンを1袋食べ切ったりパン屋でしょっぱいのと甘いのをダブル買いしたり、のあたりに私はグッと親近感を覚えました。

ぴりこは暮らしの中にふとしたゴキゲンを散りばめるのが上手で、おやつのヨーグルトとバナナを提案するも娘に「いやだ〜」と言われたら、「じゃあパフェみたいにしよう」と盛り付けを任せたり(大成功!)、料理教室で出会った仲良したちと「子どもといると辛いの食べられないから」と辛いパスタを作って喜んだりとなんだかんだで楽しそう。


こやまこいこ /KADOKAWA『スキップするように生きていきたい』「第4話 普通の日も特別に」より
普通の日に突然現れる“特別”って、サプライズ感もあってうれしさ倍増ですよね。

はるか昔、小学生だった頃に父が晩酌のおつまみのサラミを「お母さんには内緒だ」と言いながらこっそり食べさせてくれた時のワクワク感を思い出しました。こつぶちゃんのようにパフェとかのかわいい思い出じゃないのが、将来の飲兵衛ライフを予告しているようで笑えます。


こやまこいこ /KADOKAWA『スキップするように生きていきたい』「第4話 普通の日も特別に」より
おでんを仕込んだ日は(=晩ごはんが用意してある日は)さらにゴキゲン感アップ!

「晩ごはんがあると思うだけでこんなに… こんなに幸せ」と思えるぴりこのマインドを見習いたい。「あー、今夜はラクできるわ」だけじゃなく、「こんなに幸せ!」と言葉を言い変えるだけで、自分も、そしてきっと周りも気持ちよく過ごせるはずだから。

そして、タイトルにもなった「スキップするように生きていきたい」のお話。


こやまこいこ /KADOKAWA『スキップするように生きていきたい』「第9話 スキップするように生きていきたい」より
料理教室仲間ふたりとぴりこのおうちごはん会は、家庭や仕事環境の異なる三人にとって大切な息抜きの時間のようです。

その中ででた言葉が「スキップするように生きていきたい」。

頭を空っぽにして、しがらみをなくして、弾みながら前へ進む。いいなぁ、それ。

自分や高齢家族の行く末に何かと悩む年頃ゆえ、この言葉の軽やかさと「万事どうにかなりそう感」に心の晴れ間をもらったような気がしました。

『スキップするように生きていきたい』ここを再現

ある日の夕食はロールキャベツの予定だったのに、やる気が出なかったぴりこは「あきらめよう キャベツをゆでて巻くのはあきらめよう そのまま重ねていこう……」と予定変更。

こつぶちゃんにキャベツをちぎってもらい、鍋に味付けした挽肉とキャベツを重ねて入れ、カットトマト&調味料を加えてくたくたに煮たら、「おいしい!!」な出来上がりに。

あらー、これはおいしそう。寒い時期にもちょうどよさそう、と真似したくなりました。
 

◾お品書き

  • まかないロールキャベツ
まかないロールキャベツ
材料とレシピは、ぴりことこつぶの奮闘ぶりと一緒にご覧ください。


こやまこいこ /KADOKAWA『スキップするように生きていきたい』「第29話 まかないロールキャベツ」より
こやま先生の描く食べ物の絵、とっても好きです! 完成品はもちろん、作業工程や食材からもおいしそうな雰囲気が伝わってきますよね〜。

この回ではしびれさんがガーリックトーストを作るコマが特にお気に入りです。

◾食べてみました
肉ダネに卵やパン粉などのつなぎが入らず、ウスターソースで味付けするのがユニークなレシピでした。

ぴりこよりさらに面倒くさがりの私はみじん切りをぶんぶんチョッパーに任せ、ボウルを洗う手間を省くために食品用ポリ袋の中に材料を入れて揉み込むという手抜き作業を行なったことを告白しておきます。

でもキャベツは自分でちゃんとちぎりましたよ〜。

普段から家によくある食材のみで作れるのが気軽でよかったです。食べたい量だけ取り分けられるのも、家飲みのおつまみとして好ましいですね。

煮込んで甘みのでたキャベツ、野菜をたっぷり練り込んだ肉ダネのコク、全体をまとめるトマトの旨みと酸味がとてもよく調和していて、最後までおいしく味わいました。

この日は赤ワインを合わせましたが、白ワインでもスパークリングワインでも、なんなら日本酒の熱燗なんかでも合いそうです。

余った肉ダネを冷凍しておいたので、次はチーズを仕込んで作ってみようかな。

***

普段の暮らしで「スキップ」という言葉を口にすることも書くこともなかったことに気づいたついでに、そういえば何十年もスキップしていないことを思い出しました。

そして、人目のないところでこっそりやってみたらば、予想以上に酷い結果となりました…。脚は上がらずリズムは取れず、挙句、妙な感じに脚がもつれて転びそうになる始末。

これはいかん。これはいかんですよ。

スキップするような生き様のためにも、2、3歩だけでもいいからリアルスキップができるようになろうと決意した次第です。

※記事の情報は2025年1月7日時点のものです。
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